ユーザーログインしてコメントを投稿

メンズエステ店を経営していますよ〜という話

水面下でいま、メンズエステが流行っているらしい……

 出張型メンズエステのお店もひとり親方でやっているけれど(暇です)いや、ちょっと待てよ。と考えたのち、今度は店舗でのメンズエステ店を経営することにし、なんとなく軌道にのってきたところだ。

 出張はもちろん風俗営業許可を取得しておこなっているけれど、店舗型メンズエステのほうは営業許可がいらないかわりに、箱と技術がいるお仕事。

 なのでアパートの一室を借り、わたしはオイルマッサージの資格を持っているため、結構スムーズに営業ができた。

 必要なものは『オイル』『タオル』『毛布』『音楽』『最後に出すお茶』くらいだ。
 施術のベッドは使わない。布団の上でする。腰を痛めないためもあるけれどお客さんと結構密着するためもある。

 別に健全なオイルマッサージのお店だしお色気など必要などはない。ないけれどある程度際どい箇所(鼠蹊部)なども施術するためちょっと意地悪なわたしはなんとなく焦らしながらお色気を使ったりする。

 鼠蹊部の施術の仕方はセラビストさまざまなだとおもうけれどわたしはお客さんの足をカエルのような格好にした『カエル脚』という施術をしている。

えー? カエルってなにそれ? 爬虫類じゃね?

 そうなのだ。カエル脚ってなにそれ? わたしもはじめて聞いたときそういったけれど、動画をみて、あーそうなんだぁ。へーという施術でほとんどの男性がまずもって喜び勃起しちゃい、収集がつかなくなるのがまるで蛇の生殺し状態なのだ。

 自分の太ももにお客さんの脚を乗せて、鼠蹊部をゆっくりと手でマッサージ。もうゾクゾクするそうで腰を動かすひと、あっ、と悦の声を出すひと、もう我慢できないー! とわたしを押し倒すひと(おい! コラ。と叱ります)とその光景はさまざまだけれど、男性が我慢して施術を受けているのをみるのが、まあ楽しい嬉しくもある。わたしはずっと自分はどMだと自称してきたけれど、もしかしてどSかもしれないという事実をこの仕事をしだして知ったのだ。

 もちろんヌキはないけれど、我慢している男性がどのような風貌でも年齢でも皆とてもかわいくて仕方がない。癒されにきているのに、我慢して帰るという悪循環で申し訳ないけれど、それもまたメンズエステの醍醐味だといっても過言ではない。

マッサージ屋にはよくマッサージ師がくるという事実

「実はね、」と切り出した何度目かきているクマのようなデカイ巨体のお客さん(54歳)が唐突に話し出すから、はいとこたえると

「ぼくもさ、実は按摩師なんだよ」
「え?」

 あーだからおそろしいほど凝っていたんだなと知る。クマさんはつづける。

「もうさ、毎日毎日じーさんばーさんを揉んでるから凝って凝って仕方がないんだよ。そうそう。マッサージ屋ってさ、マッサージばかり行くんだよな。凝ってるから。ひとをマッサージして楽にしてあげても自分がまたマッサージに行くとかもう笑いごとだよね」

 そういいつつもしかし笑ってなどなかった。

 マッサージの仕事はしかし凝る。疲労がなくならない。なんならヘルスでちんこを咥え、きゃっきゃっといっていたほうがなんぼ楽か。お金だってたいそうに頂ける訳ではない。ヘルスと比べてはいけないけれど、ヘルスの仕事もしているわたしだからその対価に対して比べてしまう。ヘルスはぶっちゃけ寝そべっていたらいいときだってあるし、舐めて舐められの世界だ。

 マッサージはしかし手抜きができない。マッサージを求めてきているのだから。最初からヌキをメインにしてきている訳ではないことがわかっているぶんとても気を使う。体は使わないのに。裸になるほうがずっとか楽だ。

 それでもメンズエステというものは男性にとても喜ばれる。

「男ってさ、オイルマッサージしてくれるところってないだろ? だから探してたんだよね。うん。気持ちよかったよ。また来るね」

 よくいわれる嬉しい言葉だ。

 たしかにないのだ。男性が気軽に行けるオイルマッサージのお店は。女性はたくさんあるのに。エロも含めて。

 コロナの時代。みなさんとても疲れている。だから癒されたいのだ。というか皆きっとさみしいのだ。

 誰かに触れてほしいという懇願。温もりに触れたいという願い。

 それはきっとメンズエステかもしれないな。なんてね。

 あ、余談ですが、わたしの店の屋号は『メンズリラクゼーション マキ』です。

 真紀は水野真紀からいただきました。笑

 がんばります。

このコラムを書いた人

藤村綾

あらゆる風俗に従事してきた謎アダルトライター。趣味寝ること。

合わせて読みたい